CASSINA-IXC.
世界にはさまざまなデザインの椅子があります。しかしその用途をエクステリアにしぼった椅子は少ないのではないでしょうか?
エクステリア用の椅子には、その用途や耐久性など、インテリアで使用される椅子とは異なった課題があります。このコンペティションでは、エクステリア用の椅子のアイデアを幅広く募集し、グランプリ受賞作品は、CASSINA-IXC.で商品化が検討されます。

 


 
受賞作品のその後
受賞作品の商品化を目指してまいりました「第2回デザイントープコンペティション」ですが、残念ながら今回のグランプリ作品は商品化には至りませんでした。共催の株式会社カッシーナ・イクスシー、グランプリを受賞したISOTOPE(西村森衛氏・稲垣和芳氏)、そしてデザイントープより黒川雅之のコメントを以下に掲載いたします。
活動中のデザイナー、またデザイナーを目指す方々へ、今後の制作の参考になればと思います。

グランプリデザイントープ賞
作品名:DROPS
作者:ISOTOPE (西村森衛・稲垣和芳)

< 株式会社カッシーナ・イクスシー >
画期的なコンセプトの椅子だと思いますが、ソーラーパネル、蓄電池等を内蔵することによって、発生するコスト的な問題が大きいと思います。当社の製品にもアウトドア用のチェアは存在しますが、殆どは定価3万円台以下の商品です。
また、内部にそのような仕掛けを持ちながら、それを包括するシリコンゴムを椅子として掛け心地よく形成し、また長年にわたって形状・機能を維持していくのは非常に難しいと思われました。

<ISOTOPE (西村森衛・稲垣和芳)>
私達のような新人デザイナーにはイチからアイデアを具現化できるようなチャンスはそうあるものではありません。
今回、私達が提案した"drops"はイメージのみの提案ではなく、実際に稼動する試作モデルをベースにアイデアが成り立っております。出品当時、私達は試作モデルを次のステップに進められることを望み、そのチャンスを獲るためにこのコンペに出品いたしました。残念ながら今回、様々な理由からアイデアを次のステップに進めることはできませんでした。しかし、今後も諦めずに、地道に諸処の問題を解決しながら検討を進めていきたいと考えております。
関係者の皆様には、私達にこのような機会をいただけたことを心より感謝しております。ありがとうございました。

< デザイントープ代表 黒川雅之 >
商品化を目指したデザインコンペというものの難しさを感じています。
詩情豊かなあなたの作品は商品の生まれる第一歩として優れたものだと思うのですが、ここから始めて作品が現実に野外の広場に点在する情景が実現するまでには数多くの技術的、産業的な検討を必要としてしまいます。グランプリの決定に際して審査員と課題を出した企業との状況の違いもあります。あなたの作品は審査員の心を動かしたのですが、課題を提出したカッシーナ・イクスシーという企業はメーカーではないという点で技術的な検討をしにくい立場にある、そして、野外椅子という課題には適合しているのだけれどカッシーナは家具の企業であって照明器具の企業ではないという点も問題だったと思います。椅子であることのための商品化への技術検討より照明器具であるという点での技術検討が多いアイディアであり、その点でカッシーナ・イクスシーには困難なテーマだったのでしょう。本当はそのような山ほどある困難を乗り越えてこそ革命的で衝撃的な作品が生まれるのです。今回はそれだけの情熱が注げない状況にあったと言えるのかもしれません。商品化を放棄したのが共催企業ですからあなたにその権利はあります。今後、どこへ持っていって実現するかはあなたに任されたと考えていいのではないでしょうか?技術検討を頑張ってください、そして、その検討を一緒に推進した企業とあらためてカッシーナ・イクスシーへ販売を依頼することだって出来ます。デザインの仕事はこの程度の困難はいつもあります。それを跳ねのけて開発を進める情熱と技術があればいいのです。
僕は様々そのようにして商品を生み出してきました。十数年かかったものもありますし、3年間数百万のお金を費やしてやっと商品化にこぎつけたアイディアもあります。デザイナーが中心となってそのアイディアの実現に情熱を燃やすことです。技術的な解決に方向が見えてきたらあらためてデザイントープが相談に乗りましょう。或いはこのアイディアの商品化に興味を持つ企業をデザイントープで募ることも出来ます。
デザイントープはそういうデザイナーの情熱を産業につなぐことにも努力を払っていきたいからです。

ユーザー賞
作品名:SWING CHAIR
作者:馬場威彰

< 株式会社カッシーナ・イクスシー >
非常に明快なコンセプトの椅子で、素材を選べば実現も可能な作品だと思います。ただ、マーケティング的には、当社のカタログのラインナップにこの商品が入っていたとして、果たして数が出るのかといえば恐らく厳しいと思います。理由のひとつは地面や床に近いシートポジションの椅子であるということ。
例えば、最近はサンタキアラがデザインしたバレリーイタリア社のクッション状のソファもあり、人気もあるようですが、低い座り位置の椅子は、当社では殆どお客様からのリクエストがないという事実があります。もうひとつ気になるのは安全面で、メーカーとしていつも慎重にならざるを得ないのは、ユーザーが何をどう使うか読めないということです。既存の当社の家具においてもやってはいけない使い方をした結果、家具が損傷するなどということが時に発生します。子供がこの椅子を椅子として使わず、遊具的に使って怪我をしたというケースも有り得ます。こういうケースをメーカーであり、販売者である我々は最も恐れます。


優秀賞(5点)
COIL-BENCH
三原 宏樹
MOLD
ミリメーター
笠置秀紀・宮口明子
SWING CHAIR
馬場 威彰
 
THE EARTH CHAIR
隅井 徹
SINGING IN THE RAIN
久野 輝幸
 

< 株式会社カッシーナ・イクスシー >
優秀賞については総評とさせていただきます。
まず、今回のコンペで当社が望んでいたものを考えますと、デザイン的にはどちらかといえばオーソドックスなもの、アイテム的には椅子、テーブル、ベンチ等で、実用性が高く、コスト的にもアウトドアという事で、リーズナブルなプライス設定が出来るものといったところだと思います。結局は、当社の現行カタログに載せてガンガン売れるアウトドア家具が欲しかったということです。ただ、今回の応募作品の多くは、実験家具的なものが多く、作り手のこと(低コストで出来るか、量産できるか・・・といったこと)までは考慮されていない作品が多かったと思います。
コンペという性格上、これは仕方の無い部分もあると思います。当社はコンペに限らず、さまざまなデザイナーの方々と日々、家具の商品化について打ち合わせをしますが、3Dで描かれた家具を具現化するのに非常に苦労しています。
もし形に出来ても次に強度、コスト等の面で厳しい制約が待っており、長い時間を掛けても、実際には、市場に出て行く家具は僅かなものになってしまいます。優秀賞の作品はコストを別として、いずれも実現可能なものだと思われました。ただマーケティング的に考えますと、例えば年間何台売れて、幾ら売上を出すかとなると、難しい問題になってきますが、ここが当社にとって、商品化するか否かの一番のポイントになります。用途面でも、ビジュアル面でも当社のカタログ、家具のラインナップに入れられるのかといった問題も作品によっては、発生してきます。
各作品ともに一長一短といったところがあったと思います。