ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ
1928年からもう76年にわたって木製家具を製造販売してきたマルニはこれまでの事業の考え方を一新した新しい家具事業を始めることになりました。その商品として、「小椅子のデザイン」を募集します。
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8つの日本の美意識  by 黒川雅之
7.抗わないで流される美/仮

人生も宇宙も生々流転してとどまらず、はかないものだと考えている。この感覚は四季の気候を持つ日本の風土から来ているのに違いない。春はやがて夏となって生命の眠る冬が訪れるという変化から生まれた美意識であろう。
しかもその生々流転の感覚は決してネガティブな意識ではない。好んでこの万物の流転に身を任そうと考えるのである。
石などの永久的な素材を用いず、木や竹や土や紙という燃えやすく、朽ちやすい素材を好んでつくられた家も、又その空間の外部との連続性や可動性を持つ襖や屏風の仕掛けも定まらないことを受け入れる姿勢からきている。
仮という感覚は自然との適度な間合いをとりながら、自然の流れに身を任す積極的な生き方の姿勢なのである。とり合えずこうなのだというあきらめではなく、すべてが仮なのだという宇宙観、秩序感から来ている。
ありのままを受け入れて自然の流れに身を任すことを美しいと考える美意識がそこにある。自然に対決して生きようとする西洋の思想とはかけ離れた姿勢である。

数奇屋は木と竹と土と紙を中心に用いて、自然と融和する生々流転する建物である。永久を求めるのではなく、壊れ朽ちるのも悦びとする心の姿勢がそこにはある。
日本家屋の典型的な内部空間である。外壁である明かり障子と同様に、内部の間仕切りも可動な紙によってできた襖である。内部空間全体が外部にまでつながる仮の空間と考えられている。
黒川雅之のデザインによる立礼(椅子式の茶道の卓)である。日本の家屋を裏返したかのような明かり障子による家具である。木と紙でつくられ、光をいれてそれ自体があかりにもなっている。和紙のテーブルトップは汚れたり破れてしまったら貼り替えるのである。