ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ
1928年からもう76年にわたって木製家具を製造販売してきたマルニはこれまでの事業の考え方を一新した新しい家具事業を始めることになりました。その商品として、「小椅子のデザイン」を募集します。
http://www.nextmaruni.com/


 
 


 
ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ共催
「木製小椅子」デザインコンペティション入選発表
この度は、ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ共催「木製小椅子」デザインコンペティションに多数の御応募を頂戴し、ありがとうございました。国内はもとより、世界各国から600もの作品が寄せられました。その中から審査員の深澤直人氏の審査によって選ばれたのは下記の作品になります。

 グランプリ:作品名 「JOIN」
        作者名 Sean Yoo (UNITED STATES)

 入選作品 :作品名「y-chair」
        作者名 Burkhard Daemmer (GERMANY)

 入選作品 :作品名「SLOT」
        作者名 Bradley Price (UNITED STATES)

 入選作品 :作品名「マイチャ」
        作者名 まつおか よしみち (日本)

 入選作品 :作品名「マイチャ」
        作者名 まつおか よしみち (日本)


<グランプリ受賞の感想>  Sean Yoo(作品名:JOIN)

この度、私の作品がデザイントープ及びネクストマルニプロジェクト共催の木製小椅子デザインコンペティションのグランプリ賞を獲得したことを非常な喜びに感じます。さらに、私の作品プロジェクトが私自身、かねてからそれらの人々から学び尊敬の念を払ってきた著名なデザイナー達の作品と肩を並べて展示されると聞き、大変光栄に思います。

この木製小椅子’JOIN’のデザインにあたりまして,私が念頭に置いたものは“MA即ち、‘詳細部全体の外観によって作り出されるところの総合的な調和’というものです。一つの小さな椅子の中に総合的調和感、それによって作り出されるやすらぎの感覚を作り出したかったのです。 何らかの完全性や何か一つの強烈な要素に支配されることのない椅子のデザインというものができるのであろうか? 細部のそれぞれのパーツが優雅な調和をもった椅子のデザインというものは? この’JOIN’はこういった問いかけに何らかの答えを提示するものだと考えています。

さらに、大切なことは、この’JOIN’という作品によって、私が賞賛している日本のデザインに息づく美意識、即ち、協調性、和、共存性の中に見出される美というものの一端を具象化することができたのでは考えております。この度の受賞、心から光栄に存じます。有難うございました。

プロフィール

シーン ヨー:デザイナー
1968年 アメリカ生まれ カリフォルニア州ロスアンジェルスに育つ。
カリフォルニア州立ポリテクニック大学において都市設計分野で学位を取得。南カリフォルニアの大都市の一つである或る都市のプランニングに携わる。数年後、都市プランナーからデザイナーに転身を決意する。カリフォルニア州パサディナのデザイン芸術センター大学でインダストリアルデザインの学位を取得、2000年に同校を卒業する。卒業後、パサディナのラウンドスリーデザインスタジオのデザインスタッフとして勤務の後、2001年にアンジェラタラスコとともに自らのデザインスタジオApt5Designを開く。彼の作品は2003年及び2004年の国際デザイン年鑑を含む多数のデザイン関連の主流雑誌や出版物で取り上げられる。 家具のデザインにおける様々な賞の受賞も多く、その中にはミラノの国際サローネで開催されたコンコーソアンドデザイン2002における最優秀賞の獲得も含まれている。

現在、イタリアのマテラに在住。Frighetto Industrie社、Jongform社、Calia Italia社などを得意先として活躍している。

<講評>

今回の小椅子のデザインコンペの条件として「日本の美意識へのメッセージ」をデザインと通じて表現するということがありました。多くの作品がその意味を誤解し、日本の伝統的な様式や、もの、あるいはそれらが持つ表面的な特徴をモチーフにしてデザインされていました。本来、日本の美意識は「用の美」といわれるように、日々使われる日常の道具の中に込められるものでした。それは装飾や華飾ではない機能美であり、特化した機能を持ちつつ多様性を失わない普遍性を目ざしたものでした。今回選定された作品には、小椅子らしさとしてのICONとなりうる要素があり、特定の環境にあまり左右されない多様性がありました。バランスもよく日常生活で愛着がわき、長く残っていきそうな感じがしました。

幾つかの力作もありましたが、構造上の問題点や、量産に適さないなどの理由で残念ながら選定されないものもありました。また小椅子というものにあてはまるかどうかが疑問なものもありました。スツールとしての要素が強いものや、ものが置けたり、収納の機能を持ったようなものもありました。アイデアとしては面白いと思いましたが、最終選定の一点としては小椅子という言葉から連想するイメージからあまり離れないものを選びました。

椅子のデザインはコンピュータのスケッチだけでは到底判断できない難しさがあると思います。画像での選定にはその点で苦労しました。多くの力作に取り組んでいただいた参加者の皆様をねぎらい、お礼申し上げます。

審査員 深澤直人