ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ
1928年からもう76年にわたって木製家具を製造販売してきたマルニはこれまでの事業の考え方を一新した新しい家具事業を始めることになりました。その商品として、「小椅子のデザイン」を募集します。
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日本の8つの美意識  by 黒川雅之

1.細部に全体性がある/微

細部こそ全体を包括すると考えている。人でいえば、人が神の定めた罪の意識ではなく、恥や義理などの他者への気持ちや気遣いを持つことで、細部である個人が社会性をもつことで全体が調和するという考えである。
空間についていえば、それぞれの人の位置からの、ここ(HERE)とあそこ(THERE)という具体的な一つずつの場所に世界のすべてが濃縮されていて、又、時間においても、それぞれの今という瞬間に過去も未来も包含されていると考えるのである。
西洋には「細部に神が宿る」という思想があるが、日本では細部こそ全体性を持つ、細部が全体の一部ではなく全体そのものを包含すると考えている。数奇屋を宇宙を濃縮する空間と考えるのがそれである。数奇屋は室内から庭に、庭から外の風景にいたるまで放射状に世界を取り込もうとしており、そのことが宇宙の包含につながっている。
社会では個人が、集落ではそれぞれの建築が、空間ではここやあそこが、時間では今という瞬間にこそ全体が含まれる。
(*数奇屋/16世紀半ばに千利休によってつくられた建築の形式)

数奇屋の庭は外部であるのにかかわらず、内部空間と同じように一つ一つの細部に全神経が傾けられている。庭の片隅さえも世界と同じ価値を見いだしている。
数奇屋はティーマスターの席から室内、庭、外部、遠景、そして宇宙まで串刺しするかのように風景のすべてを内部空間に組み込んでいる。
部屋から縁側、庭、そして塀の外の風景にまで、部屋の一点から層状に世界が拡がっていく。空間が外に拡がることで逆に宇宙までのすべてを包含すると考える日本の空間認識がある。一点に世界が濃縮されるのだ