ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ
1928年からもう76年にわたって木製家具を製造販売してきたマルニはこれまでの事業の考え方を一新した新しい家具事業を始めることになりました。その商品として、「小椅子のデザイン」を募集します。
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日本の8つの美意識  by 黒川雅之
6.世界は始めから調和している/素

日本人は自然は始めから調和していると考えている。日本人の自然に対する姿勢は対立的ではなく、時に危害を加え時にめぐみをくれる自然と適度な間合いを大切にしている。日本人が他者との間にとる間合いに共通する感覚である。
間合いをとりながら、人もその自然の調和の中にあり、「あるがまま」を素晴らしいと受け止めるのである。従って、加工を好まない、できる限り自然のままに使おうとする。
着物は布のまま、ほとんど僅かな切断と縫製だけでできているし、風呂敷は一枚の布でどんな形のものも包むことができる。数奇屋は庭と連続的に内外の分節がない。イッセイ・ミヤケの「一枚の布」という服のシリーズは一枚の布に切目を入れて袖を付けただけのものである。
四季の恵まれた気候や風土がこの「そのまま」という姿勢を生んだ背景となっているのであろう。数奇屋が自然に対して対決する姿勢がなく、庭も数奇屋の一部と考えるのはこの「始めから世界は調和している」という根源的な意識から来ているのであろう。
(*イッセイ・ミヤケ/日本を代表する衣服のデザイナー)

日本の家屋は木と竹と土と紙でできている。素材をそのままに用いて自然と融合することを願っているかのようである。補修された壁面もありのままの美しさとして生かされている。
左は日本の着物の型紙、右は西洋の洋服の型紙である。
黒い部分を廃棄するのだが、日本の着物は廃棄する布の部分が殆どない。着物は布のありのままの形を用いてつくられているのである。
三宅一生のデザインになる、「一枚の布シリーズ」である。一枚の布に二つの切目を入れて袖を付けただけの殆ど手を加えないでつくられた衣服である。