ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ
1928年からもう79年にわたって木製家具を製造販売してきたマルニはこれまでの事業の考え方を一新した新しい家具事業を始めることになりました。その商品として、「椅子のデザイン」を募集します。
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日本の8つの美意識  by 黒川雅之
3.細部の気配がつくる相互の調和/間

日本における社会の調和は人の他者への気遣いや恥じらいなど人が持つ他者への配慮によってつくられる。人が人と共存、調和するためには、一神教的社会では神が絶対的価値の規範となるが自然や物にも神を発見する、多神教的な日本ではそのような規範は生まれない。人と人の共存はこの他者への配慮が調和の鍵になっている。恥を嫌い、和を尊び、義理を重んじて、大きくは自然との融和を悦ぶ日本人には人との、物との、自然との間合いこそ生きる重要な規範となる。
人と人の関係と同じように物と物、音と音、図と図は相互に間合いを大切にして配置される。それによって世界全体の調和を得ようとするのである。この調和のための空間が間である。
間は人や物や音や図がその周囲に伴う「気遣い」「色香」ともいうべき気配がつくりあげる。恥や和の意識が人の発する気配をつくるのである。その気配が他の人や物や音や図の気配と反応して調和をつくる。絶対論が支配する西洋的世界にはこの間という概念は生まれにくい。

世界の部分の名称もその存在もその周縁が不明確である。山はその終わりが曖昧であるし、人もその周縁に気配やテリトリーの感覚を持っていて、人も物も周縁が明確な境界を持たない。この周縁の気配があつまって間を形成する。
尻はその終わりが明確ではない。尻は背中に曖昧に連続する。女性のからだで美しいのはこの意味と意味の曖昧になる間である。
長谷川等伯の描いた「松林図」は周縁の曖昧な二つの松林の並列的な配置によって、その間の余白が深遠な空間を出現させる。間の力である。