ネクストマルニプロジェクト委員会+デザイントープ
1928年からもう79年にわたって木製家具を製造販売してきたマルニはこれまでの事業の考え方を一新した新しい家具事業を始めることになりました。その商品として、「椅子のデザイン」を募集します。
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日本の8つの美意識  by 黒川雅之
8.破壊こそ創造である/破

自然のあり方に身を任せて抗わない生き方から生まれた美意識とともにもう一つの姿勢がある。それは人がつくりあげてきた既成概念や思い込みに反抗し、破壊してこそ創造的でありうるといいう考えである。この「破」の美意識があって日本のここに述べた他の美意識に活力をもたらし、生命を刺激するのである。
「序破急」や「守破離」という思想の中の「破」は革命の仕組みである。ここでの「破」はそれまでの流れを破り飛躍させる仕掛けである。
生命的なものはこの反抗的なものによって刺激され、破壊によってこそ実現すると考えている。
カタストロフィーとは破壊の瞬間に生まれる生命的なものをいうが、16世紀のなかばに千利休が生み出した数奇屋のなかにはこの破綻こそ美という思想がある。モデュールをずらしあばら屋を引用し、素朴な素材や表現を用いたのは豪華で秩序を重んじた武士階級への反抗のメッセージであった。
「破」は日本の思想の背後に潜む生命的仕掛けといえる。
(*序破急と守破離/序破急は雅楽などの日本の音楽で用いられた加速の理念であり、美意識。守破離は修業の3つの段階で教えを守り、それを破って自分を発見し、独自の世界をつくりあげていくことを意味している)

数奇屋は商人であった千利休が贈った武士階級のトップであった豊臣秀吉への反抗のメッセージであった。支配階級への破壊的なメッセージが日本の重要な美意識をつくりあげたのである。
桜は満開の瞬間ではなく、その散り際に日本の美意識がある。自然のうつろいは死とともに新しい次の季節の訪れを象徴している。
倉俣史朗のデザインによる椅子である。存在することへの反抗ではないかと思わせる、強い破壊的な意志が見える。